参院本会議 改正薬機法を賛成多数で可決成立
参院本会議は11月27日、改正医薬品医療機器等法案(改正薬機法案)について採決を行い、賛成219票、反対15票の賛成多数で可決成立した。改正薬機法では、先駆け審査指定制度、条件付き早期承認制度について、それぞれ法制化した。このほか虚偽・誇大広告による医薬品等の販売に対する「課徴金制度」の創設も盛り込んだ。施行期日は、一部を除き、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日としている。
「参照 ミクスonline 公開日時 2019/11/28 04:51」
https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=68420
【改正薬機法の概要】
1. 医薬品、医療機器等をより安全・迅速・効率的に提供するための開発から市販後までの制度改善
(1)「先駆け審査指定制度」の法制化、小児の用法用量設定といった特定用途医薬品等への優先審査等
※先駆け審査指定制度・・・世界に先駆けて開発され早期の治験段階で著明な有効性が見込まれる医薬品等を指定し、優先審査等の対象とする仕組み
(2)「条件付き早期承認制度」の法制化
※条件付き早期承認制度・・・患者数が少ない等により治験に長期間を要する医薬品等を、一定の有効性・安全性を前提に、条件付きで早期に承認する仕組み
(3)最終的な製品の有効性、安全性に影響を及ぼさない医薬品等の製造方法等の変更について、事前に厚生労働大臣が確認した計画に沿って変更する場合に、承認制から届出制に見直し
(4)継続的な改善・改良が行われる医療機器の特性やAI等による技術革新等に適切に対応する医療機器の承認制度の導入
(5)適正使用の最新情報を医療現場に速やかに提供するため、添付文書の電子的な方法による提供の原則化
(6)トレーサビリティ向上のため、医薬品等の包装等へのバーコード等の表示の義務付け
2. 住み慣れた地域で患者が安心して医薬品を使うことができるようにするための薬剤師・薬局のあり方の見直し
(1) 薬剤師が、調剤時に限らず、必要に応じて患者の薬剤の使用状況の把握や服薬指導を行う義務(法制化)
薬局薬剤師が、患者の薬剤の使用に関する情報を他医療提供施設の医師等に提供する努力義務(法制化)
(2) 患者自身が自分に適した薬局を選択できるよう、機能別の薬局の知事認定制度(名称独占)を導入
※①入退院時や在宅医療に他医療提供施設と連携して対応できる薬局(地域連携薬局)
②がん等の専門的な薬学管理に他医療提供施設と連携して対応できる薬局(専門医療機関連携薬局)
(3) 服薬指導について、対面義務の例外として、一定のルールの下で、テレビ電話等による服薬指導を規定
3. 信頼確保のための法令遵守体制等の整備
(1) 許可等業者に対する法令遵守体制の整備(業務監督体制の整備、経営陣と現場責任者の責任の明確化等)の義務付け
(2) 虚偽・誇大広告による医薬品等の販売に対する課徴金制度の創設
(3) 国内未承認の医薬品等の輸入に係る確認制度(薬監証明制度)の法制化、麻薬取締官等による捜査対象化
(4) 医薬品として用いる覚せい剤原料について、医薬品として用いる麻薬と同様、自己の治療目的の携行輸入等の許可制度を導入
4. その他
(1) 医薬品等の安全性の確保や危害の発生防止等に関する施策の実施状況を評価・監視する医薬品等行政評価・監視委員会の設置
(2) 科学技術の発展等を踏まえた採血の制限の緩和等
施行期日
公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日(ただし、1.(3)(5)、2.(2)及び3.(1)(2)については公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日、1.(6)については公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日)