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日本赤十字労働組合
中央執行委員長
佐々木 伸樹(ササキ ノブキ)

日本赤十字労働組合のホームページをご覧いただきありがとうございます。私は令和4年10月に開催しました日赤労組第114回定期全国大会の役員選挙において、中央執行委員長の職に就任しました佐々木伸樹(ささき のぶき)と申します。この数年間、われわれ日赤労組も新型コロナウイルス感染症に関わるさまざまな課題に取り組んでまいりました。このホームページをご覧になられた皆さんも、新型コロナウイルス感染症拡大の状況下で大変なご苦労をされてきたと思います。

医療従事者も同僚が陽性者となり、限られた人員の中で業務の遂行や、職員から家族への感染不安、お子さんが濃厚接触となり付き添いのため職場を休む事態が生じるなど、心身疲れ果てたことと思います。各支部(各職場)では、労働組合が労働環境や人員配置で交渉しようとしても「密」を避けるというやむを得ない事情により団体交渉が円滑にできませんでした。このようなとき日赤労組本部は、少しでも現場の状況が改善するように本社やヘルスケア労協(連合加盟の産業別労働組合)を通じて、国へ支援を要請していたところです。

なお、新型コロナウイルス感染症の対応では様々なハラスメント問題も浮き彫りになりました。これらの問題は現場の組合員から寄せられた「声」が情報元となります。解決には時間が掛かることも多いですが、職場に労働組合があるからこそさまざまな労働条件を団体交渉という手法で要求し、交渉での解決を目指すことができます。

また、日本赤十字社の新給与制度、「Rプラン」などにより、私たちの労働環境は大きく変わる事態となりました。病院の経営状況は非常に悪く、制度改革を急ぐ必要があると言われながらも、労働者の立場から見れば明らかな改悪であります。どのように働く労働者を守っていくのか、また、どのように地域の医療を守るのかというところで、この数年間は新給与制度に係る団体交渉を本社と何度も行い、難しい判断をせざるを得ない状況の中でも一定の譲歩を本社から引き出してきました。

反対運動をするにもコロナ禍においては必然的に限界があり、譲歩内容は納得できる労働条件ではなく決め手に欠くものであったため、やむを得ず労働委員会に「あっせん」を申請し、更なる譲歩を引き出すことができました。そして、この「あっせん」による調停を受け入れたところです。

令和5年4月1日に実施された新給与制度「Rプラン」は、労働組合の視点から見れば多くの問題が浮かび上がっています。例えば、実施にあたっては、「勤務評定の公正な実施は保障されているか」「旧制度から新制度への格付けは適正評価による公平性があるか」など問題が組合員から寄せられました。賃金は日々生活する基となる大切な収入ですから、賃金に公正性がないとモチベーションが下がり、労働意欲も低下して働きづらい職場になってしまいます。今後、組合員から寄せられた「声」など集約し、新しい制度に対する改善や是正の取り組みが必要になります。

さて、医療従事者の処遇改善は国を挙げて取り組まれてきました。日赤労組も先に述べたように、ヘルスケア労協(連合加盟の産業別労働組合)を通じて、連合や国などに処遇改善を訴えてきたところです。その結果、現場の組合員からも賃金が上がったという声が寄せられています。

しかし、その一方で、同じ医療施設で働いている薬剤師や調理師、また、血液センターの職員、福祉施設の職員などからは、厳しい業務の中にあって処遇改善が行き届いていないとの声も聞かれます。新型コロナウイルス感染症が拡大する中、病院職員と同じように職責を果たして働いているにもかかわらず、処遇改善の対象から外されているからです。これらは国の支援策が一部にしか届いていないことであり、日赤労組としても、これら支援が届いていない医療従事者の処遇改善についても、関係団体に対して働き掛けをしていかなければならないと考えています。

ところで、賃金が上がったという声は把握しているのですが、業務内容が改善されたという話が聞こえてきません。これは、賃金の改善ではなく、職場の人材確保と増員が必要となるケースが多いからだと思います。医療福祉の業界では、以前から慢性的に人手不足が生じており、新型コロナウイルス感染症が全国的に拡大したときも、「ベッドがあっても医療従事者がいない」という事態が生じました。日赤労組は、平時でも必要な人材が確保され、地域住民が安心して医療と福祉の制度を寄与できる体制が必要だと考えています。また、日赤だけではなく、他の医療法人や公的医療機関に働く労働者と連携して、人員確保の要求を施設経営者や国などに対して粘り強く交渉していく所存です。

最後に、職場で組合への加入を薦めてみると、「労働組合は必要なんでしょうか」「不満があれば転職します」「未加入でも待遇差に変わらないのであれば、加入しない」「組合加入のメリットが判らない」と話される労働者が散見します。確かに不満があれば、比較的転職しやすい業界だと言われているので、転職はさほど難しくないかもしれません。でもその場合は、労働条件が切り下げられる可能性が高いのです。転職時は賃金水準が保たれましたが、その後、給与がまったく「上がらない」というのもよくある話です。私たち日本赤十字労働組合は、働きやすい職場にするために、皆さんと共にありたいです。是非、組合の扉を叩いてみてください。